忍者ブログ
tcn
ものおきごや。
 19    18    17    16    15    14    13    12    11    10    9  
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


ひとつ、ふたつと夢を数えて、あなたと眠ろう。




今日も『日常』が終わる。
朝 起きて、夜 眠る。
日中は、外を眺めて、社会の動きをじっと見ていればいい。
今日も人が死んだ。
誰かが涙している。
けれども、どこかで産声も聞こえる。
誰かが歓喜の声をあげている。
毎日、毎日、それの繰り返し。
ただ、じっと、繰り返される歴史に何も言えないまま、時間が流れる。
それが、嫌だったわけでもないが、つまらないと感じることもよくあった。
一般人に国は見えない。
街ですれ違っても、気付いてもらえやしない。
瞬きを一瞬しただけで周りの風景が変わる。
何も無い森から、村へ。そして、村から町へ。
そういう風に誰と喋ることもなく、時間が過ぎていくのは楽しいものだろうか?

「あんたが、日本か?」

初めて、中国さんと違う国の人に話しかけられた。
バター色の肌しか見た事のなかった私は、その人の乳白色の肌に第一に驚いた。
それから、墨色の髪の子しか生まれないのかと思ったら、きらきらと輝く飴色の糸を身に纏った人間が生まれることに驚いた。
私はじっと彼を見つめる。
珍しいものだから?
違う。
惹かれている。

「・・・俺はここから西にあるあなたと同じような島国のイギリスと言う。」

「イギリスさん。」
胸の中で呟くけれども、言葉にはしなかった。
それでもじっと彼を見つめる。
彼はいぶかしげにその翡翠色の瞳で私を見つめ返す。
お互い一言も発さない。
時間がゆっくりすぎていくような気がする。

「ゆっくり、していってください。」

自然と口が開く。
緊張しているはずなのに、ゆっくりゆっくりと動く。
声も震えない。

「そう、だな。」

彼はそう言って、にこやかに笑うと、そっと私の手のひらを握ってくださった。
ぼぅと顔が赤くなったけれど、イギリスさんは気にも留めないように

「日本はいいな。」

と言って優しく話かけてくださった。
この日、この瞬間から、私は恋に落ちた。
その日から
幾夜もイギリスさんの事を考えて心が熱くなった。
幾度もこの両目から涙が流れた。
夢も溢れた。
あの人とこうしたい、ああしたい、と女学生にも似た考えがずっと頭の中でぐるぐると回っている。
全部、叶わぬものと知っているのに。
だから、眠ろう。
今日、想ったあなたへの夢の数を数えながら。
PR
忍者ブログ [PR]