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ものおきごや。
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お題(リライト様より。)



「どうぞ。」

毎年思う。
目の前に居るこいつは何を考えているのか、と。

「・・・ありがとうアル。」

これも毎年思う。
何で、自分は受け取ってしまうのか、と。

「お誕生日おめでとうございます。王さん。」

そう言って、にこりと笑う菊を我は、きっと睨んだ。
こいつは視線の意味に気が付くだろうか。
我が持っているのは、濃厚な桃色の薔薇。
種類はイーバンヘンという、我の国原産の美しい薔薇。
このようなものをくれるのはありがたい。
けれども、ありえない、と考えるのはその数。
塵も積もればなんとやら、と聞いたことがあったが、まさか、花も積もれば・・・になるなんて考えたこともなかった。
けれども、久しぶりに見る可愛い弟のような存在に話したいことがたくさんあったのは事実。

「茶でも飲んでいくとヨロシ。」

そう言って、近くにあった花瓶にいくらか花をさすと、台所から茶道具を持ってきて、菊の前にセットする。
それから、お茶をつぐと、トンッと菊の目の前に茶碗を置いた。

「ありがとうございます」

にこり、と笑う。
それだけで何をいうわけでもなかった。
我から話しかけようかとも思ったが、気持ち的には菊から話しかけてもらいたい。
少し念じてみたり、空気をそのような感じにしても、その気持ちは菊には全く届かない。
我は拗ねて、相手もせずに、今 貰った薔薇をちょっとずつ近くにある花瓶やら、壷に生けていると、やっと読めたのか、菊が

「やはり、王さんはこの色が似合いますね。」

と言って、我が生けていたものたちを見つめた。

「どういうことネ?素直に言え、アル。」

「いえ、私と王さんが初めて会った時、王さんは、この色のお着物を召していたでしょう?
あのときから、この色は私の中では、王さんの色なんですよ。」

そこまで言うと、2人とも黙り込んでしまった。
そんな昔の事をずっと覚えていてくれたのか・・・。
我はうれしかったが、菊は気恥ずかしくなったのか、視線を花瓶から避けて全く何もないところにうつす。
それから、こつんと音をたてながら、テーブルの上に茶碗を置いた、。
そして、すぐに「それでは。」という声が聞こえたかと思うと、すぐに消えた。
我が教えた術は今も健在しているんだ、と思うと頬が自然と緩んでしまう。
それよりも―――我は立ち上がると、ごそごそと昔の衣装箱を漁った。
もしかしたらまだあるかもしれない、そして 今度会った時に・・・。
そう思うと、胸がどきどきするのがわかった。
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