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ものおきごや。
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お題(リライト様より。)





・守られるはずがなかった約束とリンクしてます

・独視点







手を伸ばせば、届くと思った。
そして、長く、長く伸びるこの両腕で君をまた捕まえられると信じていた。





がたたんと揺れる列車は、中東付近から祖国まで伸びる鉄道。
外を眺める風景は移り変わり、どんどん自分が慣れ親しんだものに似てきていた。
いつもなら、意気揚々と帰れるこの道は、どんどん心を潰していく。

「ねぇねぇ、ルート!あの女の子かわいいよ!」

「ルートォ~。パスタが食べたいよぉ。」

「ルート。」「ルート!!!」「ルートー。」

いつもなら、俺の名前をしつこいぐらい呼んでくれるあの声が、今は俺の耳には届かない。
そして、空になった俺の隣の席。
『いつも』が『いつも』ではなくなっていく。
怖い、と素直に思った。
きっと、家に着いてからも、『いつも』ががらがらと音をたてて、崩れていくに違いない。
朝、起きるとあいつが隣で裸で眠っていたり。
昼、訓練中に菊に話しかけまくり、菊に迷惑をかけたかと思ったら、脱走したり。
夜、あいつが家に遊びにくるものの、結局、兄の方に連れ帰られたり。
これだけあいつが居た生活だったのになくなってしまう。
その現実が受け止め切れなかった。
あいつが居なくなれば、生活は全て前と元通り、キチッと何でも進むだろう。
けれども・・・。
今 流れているこの涙は、そうじゃない、と言っている。
味気のない生活に戻るということが、どういうことかの意味を知らんぷりしたいがあまり、自分で勝手に意味を捏造しているんだ。
他の者に気付かれないように嗚咽をもらしながら泣く俺は、どうすればいいかわからなかった。
そして、地図を見て本当にあいつが消えたかどうかの確認さえできなかった。
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