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ものおきごや。
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お題(リライト様より。)




・元に戻りゆく世界と隣の空席とリンクしてます

・伊視点





「生きて帰って来るように。」

ルートは確かにそう言った。
だけど、ごめんね・・・?




「痛っ!」

体中が痛くて、どうしようもない。
起き上がる気力さえなかったから、体のどこから血が流れてて、どこの部分がどうなってるのかなんてことをさがす気が全く起きなかった。
とりあえずわかるのは、俺はずっと眠ってたらしい。
目の前の月が俺に向かって微笑んでいる。
銃弾の音が聞こえない、人の気配もしない。
ただ静かだった。
俺はどうしてしまったのだろうか?
俺のベッドとなってくれているものは、誰かの家の瓦礫だし、夜空を見るのに余計なものが見えない。
遠くから流れてきた冷たい風が、顔を撫でた瞬間少し痛んだ。
こんなところにも傷があったのかと、自分の指でふれるとまた痛みが走る。

「あててて・・・。だておとこ?なのに」

そう言うと、急に菊のことを思い出した。
前に顔を怪我した時、「伊達男なのですから。」と言って、傷口の消毒をしてくれたから。
そのとき、伊達男の意味を聞きそびれてしまって、今もわからないけれど、今度会えて、意味を聞いたらいつもみたいに困った笑顔をしながら答えてくれるだろうか・・・。
そして・・・その菊に後ろに居るのは・・・。ルートだ。
いっつもぷりぷり怒ってるけど、ここ一番!って時には誰よりも俺を心配してくれる。
この戦いが始める前もそう。
俺とちゃーんと約束をした。
菊が教えてくれたゆびきりげんまん?ってやつをして。
(これも今度、ちゃんと意味が聞きたいなぁ。俺、もう覚えてないや。)
でも、俺はわかってたんだ。
この約束は守られるはずがない、って。
だって、俺ってさ、すごく弱いもん。
ルートの足を引っ張ってばっかりだし、怒らせてばっかりだし。
だけど、ルートのあの真剣な眼差しに見られると、こんな俺でも頑張れる気がして、ちょっと頑張っちゃった。
どうなるかなんてわかってたし、自分がどういう状況かもわかってたつもりだった。
それでも、俺はルートとの約束を守ろうと頑張ってみた。
逃げる以外で、ルートの邪魔にならないように、銃を握り締めて、訓練中に教えてくれた言葉を胸に刻んで。

「なんでもやってみなくちゃわからないだろ!」

いつも言ってた。
がんばってみるね、俺も。
でも、俺 守れなかったね。
生きてるけど、ルートのところに帰れなかったね。
ごめんね。

「ごめん。」

そう呟いてみたけど、その声は近くを少し響いて、すぐ消えてしまった。
重い疲労感が全身に圧し掛かる。

「おやすみ、ルート。」

ゆっくりと目が閉じていく。
気付いたけど、その声は今度は響きもしなかった。
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